【完】クールな君に告白します
“悪かった”……と。
椎名くんは私の手を掴む力をそっと緩めていく。
そして、椎名くんの手の行方は私の分厚い前髪で、ふわりと揺らした。
「だから、ごめんな……」
もう一度そう告げれば、優しく触れるように私の前髪を撫でた。
じんわりと心に染み渡る言葉………。
鼓動が早鐘を鳴らして、同時に椎名くんのその温かさにキュッと胸が締め付けられた。
「椎名くんが謝ることなんてない……っ、私、椎名くんのおかげで正木さんとも話せるようになったよ……前より、私は自分が嫌じゃないよ……だから、椎名くんありがとう……」
「っ、」
今度は、ちゃんと顔を見て言えた気がする。