【完】クールな君に告白します
前に、礼を言うなら顔を見ろって言われたことがあったから。
私は、前よりも自分の言葉を口にすることが難しいって思わなくなったのは、椎名くんのおかげだった。
「いきなり笑うなよな……、」
「あっ、そうだよね。不気味だって思われ……」
現にみんなが目を見開いてこちらを見ているし。
「違う。そういう意味じゃねぇよ……」
「…………えぇ、と?」
続きは聞かせてもらえず、ぷいっと顔を背けてしまった椎名くんは「早く席に着けば」と呟いて、自分の机のある場所へと戻っていった。