【完】クールな君に告白します
・二人きりの夜に
毎年、長期休みに入れば学校で不気味ちゃん扱いされることもないんだから、軽くなった気持ちで過ごせるはずなのに、今回の冬休みは憂鬱にさえ感じた。
不思議だ。
そんなこと、今まで思ったこともないのに。
どうしてか、あの日の椎名くんの消えてしまいそうな声が、耳の奥にまだ残っている。
……そのせいかな。
年が明けてからの冬休み中も、私は椎名くんのことばかりを考えていた。
それに冬休みなら春風さんやクール王子溺愛同盟の皆様に追い回されることもないわけで、一時の休息に安堵しているかもしれない。
私は、冬休みが明けたら、梶先輩に思いを伝えにいこう。
そんな前向きな思いにさせてくれた椎名くんは、いつも私の告白の手助けをしてくれていたけど、自分のことは決して話さない。
……改めて、私は椎名くんのことをこれっぽっちも知らないんだと思ったら、少し悲しくもなった。