【完】クールな君に告白します
……しばらくしても正木さんが来ることはなく。
映画を見終わった人々がぞくぞくと館内から吐き出されたように出ていく姿を、私は呆然と見つめていた。
白い息が口から漏れて、辺りには街灯がちらちらと光だす。
あれ……私、もしや、日にちを間違えた……?
そう思ったけれど、指折り数えて待ち焦がれたこの日を間違うわけがない。
どうしたんだろう、正木さん………。
不安が沸きだして、ふと、いつかの誰かの声が頭の中に木霊する。
ーーー“ 正木さんってば、可哀想……不気味ちゃんがいつも当たり前に一人ぼっちだから仕方なく、声かけてあげてるだけなのにね?”
そうだ、私が、一人ぼっちだから仕方なく。