【完】クールな君に告白します
突然、椎名くんの力強い声が私の名前を呼んだ気がして、弾かれたように地から顔を上げる。
「っ、」
……冬空が夜に包まれていく人混みの中。
街灯に照らされたキャラメル色の髪がふわりと揺れて、目を見張った先に、椎名くんが肩で息をしているのが見えた。
どうして………?
驚きでその名前を口にすることも出来ない私に、椎名くんは人混みを通り抜けるように真っ直ぐに向かってくる。
「……お前なぁ。バカじゃないのか!」
「っ、……椎名、くん?な、なんで。なんでここに……」
うわ言みたいに何度も繰り返す私に、椎名くんは呼吸を整えることもなく、ただただ眉根を寄せて視線を送る。