【完】クールな君に告白します

励ます言葉を贈れなくても自然と強くそう願えば、私の中で何かが弾けた音がして、自分でも不思議なくらいすらすら言葉が出てきた。



「……何で、お前がそんな顔するんだよ」


「だって……、」


「何で……そんな傷ついたみたいな顔して、お前がオレの心配してんだよ……」



何で……だろう。

何で、椎名くんに傷ついてほしくないんだろう。


一瞬、睫毛を伏せて、もう一度私に視線を送る。


そんな椎名くんの切なさに満ちた瞳を真っ直ぐに見つめ返せば、自然と胸の中に答えが生まれたような気がした。


……ああ、そっか、私は。



「椎名くんに、笑っていてほしいから」



私、もう一度。

さっき見せてくれたその笑顔で溢れる椎名くんでいてほしいんだ。


ただただ、椎名くんに染まっていく気持ちを感じながら戸惑う私に、椎名くんはほんの少し困ったみたいに笑った。