【完】クールな君に告白します
逸らされることのない椎名くんの瞳の奥には、私に対する憤りみたいなものがゆらゆら揺れていた。
不気味ちゃん……なんて呼ばれることに、もうすっかり慣れっこになっていたけど、本当のことを言えばやっぱり、少し悲しくて……。
だから、自惚れでしかないのは重々承知だけど、私の思いをそっと掬い上げてくれたみたいで、胸がキュッと締め付けられた。
「……でも。もしかしたら、私の名前……誰も、知らないのかもしれません、」
それなのに、私はこんな風にしか返せなくて。
「月城だろ?」
「へ……?」
「月城公花。お前、自分の名前忘れたのか?」