【完】クールな君に告白します
「……もういい。この話はやめだ」
「なっ……、ズルいですよ。椎名くんだけ、勝ったみたいな顔をしてます!」
「いや、どっちかつぅと負けてるのオレ。てか、負けでいい……」
「へ?よくわからないです。そ、それに……あの時は、本当に椎名くんが消えちゃいそうだったから……だから、つい手が……っ、勝手に抱き締めてしまって……!」
街路樹の真ん中でそう叫べば、観念したかのように、大袈裟な動作は静寂な夜風が止むと供に静止する。
同時に、意地の悪い自分自身を酷く後悔した。
……衝撃を受けたはオレの方だから。
そもそも、月城本人はそれだけの衝撃発言をしたって自覚はあるのか?
無自覚って……かなり罪なんじゃないのか。