【完】クールな君に告白します



「……あ、梶だ」


「えぇっ…………!?」



苦し紛れに再び意地の悪いことを口走れば、すっかり夜の帳(とばり)が下りた辺りを月城は必死に見回した。



「か、かか、梶先輩はどこに………?」



くるくる変わる表情は、オレの中で確実な変化をもたらして、どこかで見覚えのある顔がはっきりと浮かぶ。


………お前、やっぱりあの時の。


今まで靄(もや)に包まれた記憶が瞼の裏に鮮明に浮かび、今目の前にいる月城本人と重なった。


月城の話を聞いていく中で思い出したのはどうやらオレ自身で、当の本人は気づいていないらしい。



それは無理もない。

月城は、あの時オレの存在にすら気づいていなかった上に、梶の姿を必死に追いかけていたわけだから。



……だから、教えてやらねぇよ。



< 282 / 563 >

この作品をシェア

pagetop