【完】クールな君に告白します
「……あ、梶だ」
「えぇっ…………!?」
苦し紛れに再び意地の悪いことを口走れば、すっかり夜の帳(とばり)が下りた辺りを月城は必死に見回した。
「か、かか、梶先輩はどこに………?」
くるくる変わる表情は、オレの中で確実な変化をもたらして、どこかで見覚えのある顔がはっきりと浮かぶ。
………お前、やっぱりあの時の。
今まで靄(もや)に包まれた記憶が瞼の裏に鮮明に浮かび、今目の前にいる月城本人と重なった。
月城の話を聞いていく中で思い出したのはどうやらオレ自身で、当の本人は気づいていないらしい。
それは無理もない。
月城は、あの時オレの存在にすら気づいていなかった上に、梶の姿を必死に追いかけていたわけだから。
……だから、教えてやらねぇよ。