【完】クールな君に告白します



ほんの少し意地悪を含んだ言い方をする梶先輩に、国崎くんのムッとした横顔がほんのり赤く染まっていく。


初めて………?


こないだ体育館で偶然見かけた圧巻のダンクシュートって、初めて決まったってことで……。


つまり、秘密の練習の成果が実のーーーああ、もうそろそろ本当に苦しい……。


悪魔の角が生えた国崎くんの手に抵抗出来ずにもがき続ければ、パシッと響く音と同時にその手は解かれていく。



「バカだから、窒息するとか考えないわけ?」


……と。

溜め息混じりに挑発的な台詞を浴びせたのは、国崎くんの手を掴んで、心底呆れている椎名くんだった。



「っ、椎名く………、」



ようやく酸素を取り込むことが出来た私は、ひたすら呼吸を繰り返す他なくて。


そんな私を見て、なぜか眉根を寄せてしまう椎名くんは、教室の入り口に背を預けると機嫌が悪いことこの上ない顔をしている。



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