【完】クールな君に告白します



「バカが喚いてると思ったら、やっぱりお前か」


「……っ、クソ王子!お前なんか呼んでねぇよ!」


「そうやって、喚く度にバカっぷり発揮してるって自覚あんのか?」


「……お、お前ら二人。いつからそんなに犬猿の仲になったんだよ」



深い溜め息をついて仲裁に入る梶先輩は、手を焼かせるなと呆れていたけど、私は梶先輩の言葉が気になっていた。


いつからそんなに犬猿の仲……って。


それじゃあ、椎名くんと国崎くんは元々ここまで不仲ではなかったの?



「もっと大人になれよ、お二人さん?月城は、俺が借りていくから」


「っ、か、梶先輩…………?」



動揺を隠しきれない私の顔に距離を縮めた梶先輩は、「早く」と声をかけるから、それが合図に私は根を張った足を動かした。



「……月城、もう逃げるなよ?」 


……と。

背中を預けていた椎名くんの声が、真っ直ぐに、私に届いた。



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