【完】クールな君に告白します
息つく間もなく全ての思いを伝える私に、梶先輩の瞳は驚きの色に染まる。
最後に謝罪の言葉を述べると同時に勢いよく頭を下げれば、再びこの廊下は静寂に包まれた。
……怖くないと言えば嘘になる。
梶先輩の口から次にどんな言葉が出てくるか、許してもらえるなんて甘い考えはないけれど、もしかしたら拒絶かもしれない。
自分で蒔いた種……それでも、不安は広がる。
「……うん。わかってたよ、俺は」
「えっ、」
ぽつり、と。
数秒の沈黙を溶かすように呟いた梶先輩の力を抜く声に、自然と頭を上げる。
「月城の本心じゃないことくらい、俺にだって、わかったよ……」
「……っ、」
「それは、何でかわかる?」
「……、」
ゆっくりと頭を横に振り梶先輩を見上げた。
「だってあの時……月城は俺の顔を一つも見やしなかっただろう?」