【完】クールな君に告白します
あの日、梶先輩の腕の中。
梶先輩を間違いなく傷つけてしまう言葉を発することは自分を守る術(すべ)で。
間違いだと確かにわかっていたクセに、弱さを絶ちきれないまま。
優しさを踏みにじる言葉を、とても、梶先輩の顔を見て言えなかった。
「……けど、今は俺の顔を見て話してくれた。逃げないで、嘘をつかないで月城の言葉で言ってくれた。もう、それだけで十分だから」
ーーー梶先輩の顔を見て。
……ああ、そっか。
誰かの顔を見て伝えないと“告白”なんて意味がなかったんだね。
大切なことならなおさら。
顔を見て伝えないと伝わらない思いは確かにあった。
それを、椎名くんは私に教えてくれた。
私、今……梶先輩の顔をちゃんと見ている。
私の言葉で、伝えられているよ、椎名くん。