【完】クールな君に告白します
澄んだ声は優しく響いて、同時に滲む視界に映る梶先輩はやっぱりあの頃と変わらない、穏やかな笑みをしていた。
とても近くでその笑顔の温かさに触れたら、涙が溢れてしまいそうになる。
……けれど。
「だからさ、前みたいにもっと笑いなよ?」
「え……?」
「……“不気味”ちゃん、なんて呼ばれてるのは、もったいないんじゃない?」
「な、なんで……梶先輩がっ、それを……、」
だって、さっきもこの図書室の前に来た時。
ーーー“この部屋、不気味ちゃんっていう七不思議を持つ女の子のせいで、誰も近寄らないらしいから”
……そう言っていたはずじゃなかったかな。