【完】クールな君に告白します



「ほんと……可愛いげなくて愛想も悪い。そんな椎名が、月城のこと心配してる顔見たら、俺も負けてらんないなって思ったよ」


「負ける……?あの、梶先輩は椎名くんのことを知ってるんですか?椎名くんも、中学の頃に会うことがあったって言ってて……」


「……え。もしかして、何も聞いてない?」


「……何もですか?」


「………ああ、そっか。てっきり隼人伝にでも聞いてて、もう知ってるかと思ってたんだけど。ふぅん。なるほど、ね?」


……と。

首を傾げる私をよそに梶先輩は一人何かを察した顔をして、宙を仰いだあとイタズラに笑ってみせる。


私には、なんのことだかさっぱりわからない。



「……梶先輩?」


「……悔しいから、やっぱり教えてあげない。俺も、まだまだだよな……」



そう言った梶先輩の声は、心なしか嬉しそうに弾んで聞こえた。



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