【完】クールな君に告白します
「ありがとう」
「っ、」
「……心配してくれて。私の“告白の練習相手”になってくれて、本当にありがとう。私……ちゃんと、椎名くんと恋愛出来てたかわからないけど。梶先輩の顔を見て、告白することが出来たよ」
「……、」
手が届いたら……と。
何度も願って眺めるだけの私の“特等席”。
でも、初めて話をしたあの日から、ここには椎名くんがいてくれて私の背中を押してくれた。
逃げることはきっといつでも出来る。
大切なのは、もう一度、向き合うこと。
顔を見て伝えると色んな思いが届くこと。
………だから、私も今。
椎名くんを真っ直ぐに見つめている。
「……椎名くんと“恋愛”出来て、私、前より自分が嫌いじゃないよ」
下を向いたりしない。
私の歩幅で少しずつ前を向いて歩いていける。