【完】クールな君に告白します



「ありがとう」


「っ、」


「……心配してくれて。私の“告白の練習相手”になってくれて、本当にありがとう。私……ちゃんと、椎名くんと恋愛出来てたかわからないけど。梶先輩の顔を見て、告白することが出来たよ」


「……、」



手が届いたら……と。

何度も願って眺めるだけの私の“特等席”。


でも、初めて話をしたあの日から、ここには椎名くんがいてくれて私の背中を押してくれた。


逃げることはきっといつでも出来る。

大切なのは、もう一度、向き合うこと。

顔を見て伝えると色んな思いが届くこと。


………だから、私も今。

椎名くんを真っ直ぐに見つめている。



「……椎名くんと“恋愛”出来て、私、前より自分が嫌いじゃないよ」



下を向いたりしない。 

私の歩幅で少しずつ前を向いて歩いていける。



< 320 / 563 >

この作品をシェア

pagetop