【完】クールな君に告白します
距離にしてほんの数センチ。
長い睫毛も、その瞳も、キャラメル色の髪も。
今日という日まで全部こんなにも近くにあって。
だけど、私と椎名くんの関係は今日で終わりを告げるんだと思うと無意識に目を伏せる。
「……理由がなきゃダメなのか?」
「えっ?」
小さく驚けば、トンっと……私の頭に顎を乗せた椎名くん。
「お前……最後って、なんだよ?」
「だって……、」
「ここに来たいなら来ればいいだろ?」
「っ、」
「春風も意外としぶとくて煩わしいし、お前のせいでここにいる方が落ち着く。そうやってオレだって来たきゃ勝手に来る。だから、理由なんかなくたっていんだよ、バカ……」
……と。
頭上から降ってくる不器用な優しい声音に、鼻の奥がツンと熱くなった。