【完】クールな君に告白します
「舞、アナタの知り合い?」
同時に、隣に立つファーをあしらったコートに身を包んだ正木さんのお母さんは、無表情にそう言った。
うん……、と。
小さく頷いた正木さんにとても似ているお母さんは、話で聞いた通り厳しそうだ。
私から見ても院長婦人……という言葉がふさわしい。
「正木さん、これ……なかなか返せなくてごめんなさい!本当に、面白かったです」
「……、」
「また、お勧めがあったら、是非教え……」
「わざわざありがとうね?」
え……?
切り上げるように口を開いたのはニッコリと唇を広げて笑う正木さんのお母さんだった。