【完】クールな君に告白します
「でも、これはもう娘には必要ないの。アナタの方で、処分してもらって構わないわ」
「……え?」
「娘は主人の病院を継ぐために学業に専念しなくてはならないの。こんな、つまらない本なんて、読むだけ時間がもったいないわ。……くだらない」
「……っ、」
「……それに、アナタは娘のお友達か、何か?」
刺すような声と品定めでもする目付きに耐え兼ねて、視線を逸らした私は暫しの沈黙のあと、ようやく声を漏らす。
「私は、正木さんと友達に……、」
「どう見ても、お友達じゃないわよね?失礼だけど、アナタ……大学はどちらを希望されてるの?」
「えっ、と。だ、大学は、まだ………、」
「そう。ご両親はどちらにお勤めされてるのかしら?会社や企業名を言ってもらえれば、名の知れたところなら、わかるんだけれど……」
……と。
眉を大きく動かして私を見下ろす正木さんのお母さんに言葉を失う。