【完】クールな君に告白します
どうして名門校に通っていた正木さんが、普通に分類されるこの学校に通っているのか……。
その理由が少しわかった気がした。
「舞、一番になりなさい。そのために医者になるのよ?もう、何度も言わせないでちょうだい……」
心底呆れた溜め息が宙を舞う。
正木さんは、目を伏せるように下を向き、唇を噛み締めている。
「……お見苦しいところを見せてしまってごめんなさいね?家庭教師の先生がいらっしゃるから、私と娘はもうこれで」
肩を掴まれて無理矢理に歩き出す正木さんの小さな背中と、その拳を握る手が震えていた。
友達の選び方……。
それは、何が正しいことなんだろう。
ーーー“また話しかけてもいい?”
正木さんの小さくなる背中を見つめる。
ーーー“ほんとに?よかったぁ。実はわたし、今からもう楽しみなの”
友達ってどうやって作ってきただろう。
正木さんの笑顔を私は思い出してばかりで。
………ああ、なんだ、簡単なことだ。
「正木さん……!」