【完】クールな君に告白します



 * * *


小道具のお札や藁人形が完成したところで、椎名楓はどこに消えたのかしら、と舞ちゃんに言われた私。


もしかしたら、と思って席を立った私に、舞ちゃんはイタズラに揺れる瞳を向けて、いってらっしゃいと手を挙げた。



「バレンタインだよ、公花。これ、あげる」



その時に、ポケットに入れられたのは、ピンク色のチョコペン……。


どうやらこのチョコペンで私に落書きをしようとしていたと楽しそうに話す舞ちゃんは、意外にお茶目なところがあることを知ったんだけど。



「落書きくらいなら、王子様にも出来るでしょ?」



疑問符が飛び交う私に、舞ちゃんは鼻唄を歌いながら席へと着いて作業を再開する。


落書きくらいなら……?

疑問は解消されないまま図書室へと向かった私は、変にドキドキしながらそっと扉を開けた。



あれ………?

誰もいない……というか、椎名くんは?

てっきりいつもの定位置、窓辺に立っているであろうと思った私はそっと中へと進んでみる。


次の瞬間、私のドキドキは、加速を増した。



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