【完】クールな君に告白します



「あの……っ、椎名くんが、なかなか教室に戻らないから……どうしたのかなって……、」



理由を並べて、隣に座ったことを後悔しながら俯けば、ゆっくりと体勢を整える気配がした。



「風邪ひいちゃうって思……」


「オレがここにいるって、よくわかったな?」



言い終えないうちに椎名くんが声を被せるから。

まだ、顔を見れない私は曖昧に相槌を打つ。



「なんとなく……最初に会った時も、ここは嫌いじゃないって言ってたから……」


「……、」



返事は返ってこないままゆっくりと視線を移す。

なんの感情も読み取れない表情(かお)。


“オレとは違う”……と、不意にそんな言葉を落とした椎名くんを思い出すと、やっぱり苦しくなってしまうんだ。



< 378 / 563 >

この作品をシェア

pagetop