【完】クールな君に告白します
「あの……っ、椎名くんが、なかなか教室に戻らないから……どうしたのかなって……、」
理由を並べて、隣に座ったことを後悔しながら俯けば、ゆっくりと体勢を整える気配がした。
「風邪ひいちゃうって思……」
「オレがここにいるって、よくわかったな?」
言い終えないうちに椎名くんが声を被せるから。
まだ、顔を見れない私は曖昧に相槌を打つ。
「なんとなく……最初に会った時も、ここは嫌いじゃないって言ってたから……」
「……、」
返事は返ってこないままゆっくりと視線を移す。
なんの感情も読み取れない表情(かお)。
“オレとは違う”……と、不意にそんな言葉を落とした椎名くんを思い出すと、やっぱり苦しくなってしまうんだ。