【完】クールな君に告白します
「お前は……?」
「え?」
「お前が戻るなら、オレも戻って作業するけど?」
「……わ、私は戻って作業をするけど、椎名くんは無理に戻らなくても……。きっと、チョコの嵐が待っていると思うしっ、」
座り込んだまま言葉を並べた月城の身振り手振りは大きくなる。
バレンタインなんか興味はない。
そんなものに感化された色めき立った女から、強引に差し出される甘いものを受け取る気は毛頭ない。
大体にして、どうして。
ーーーどうして、オレなのかもわからない。
「……月城は、誰かにやるのか?」
「へ……?」
弾けるように顔を上げた月城。
分厚い前髪から覗く瞳を見つめれば、なにバカげたことを言ってんだってオレ自身が驚いた。
月城の言葉を借りて言うのなら、それは、勝手に口を衝いて出た言葉だった。