【完】クールな君に告白します

「今日、そういう日だろ……」


「っ、えと……。バレンタイン？私は、誰にも……そもそもチョコなんて持ってーーー……」



言いかけて、何かを思い出したようにポケットに手を入れた月城はおもむろにそれを取り出した。



「………持ってた、」


……と。

自分から取り出したクセに驚いて動揺する。


手のひらに乗せられたそれは、チョコというよりも、むしろただのチョコという名のペンだろ。



「なんだよ、それ……、」


「これは、正木さ……、舞ちゃんが、くれてっ」



名前で呼ぶ程親しくなったのか、それが嬉しいのか落ち着かない月城の表情は微かに和らいで映る。



「誰にやるんだよ、そんなもん……」


「あげないよ……っ、これじゃ、落書きくらいしか出来ないし。バレンタインの贈り物としてはちょっと……」