【完】クールな君に告白します
手を引っ込めた月城は肩をすぼめた。
バレンタインに興味がないのかは知らないが、月城らしいといえばそうなのかもしれない。
「どうせなら、なんか描いてみろよ」
「……って、言われても」
「ここでいいだろ」
「なっ……、」
描く場所を探してるのか辺りを見回す月城は、囲まれているのは本ばかりだと気づいたらしい。
そんな月城に、同時に手を出したのはオレ自身で。
「すぐ消せるんだから、なんか描いてみろよ」
「なんかって……、」
「正木の絵とか描いてたろ?絵心無さすぎだけど?」
「……、」
ほんの冗談のつもりで言っただけで。
ここ数日、月城はよそよそしい態度だったり、途切れ途切れの会話ばかりで様子が変といえば変だったから。