【完】クールな君に告白します



「じゃあ……目、閉じて?」


「は?」


「お願いだから……」


「ったく……、」



一体、そんな甘ったるいペンで何を描くつもりなんだか。


言われるがままに目を閉じれば、手の甲に触れる月城の指。


目を閉じれば五感が冴えるらしいと、本で読んだことはあったが……。


だから、だろう……。

月城の息遣いとか、震える指先とか、その手の温度も今まで以上に近く感じたのは。



「いいよ……目、明けても……」



鮮明になった視界、その先にーーー、


頬を赤く染めて、切なげな表情を浮かべた月城が、唇を固く結んでオレを見上げていた。



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