【完】クールな君に告白します



画集を手に取る三条さんは落ち着かない様子で、椎名くんもまた、眉根を寄せてただならぬ空気を放っていた。



「ほ、本は……っ、見つかりましたか……?」


「……うん。ありがとう」



いたたまれない気持ちに耐えきれずそう問いかけてみれば、三条さんの手が震えていることに気づいてしまう。


後ろ髪を引かれるような表情で出口へと歩き出す三条さんが、ピタリと足を止めて、躊躇いがちに振り返った。



「ごめんね。楓……、」


「っ、」


「お父さんに会ったんでしょう?聞いたの。また……すごく、怒ったんでしょう……?」



酷く無機質で、鋭い目付きをして椎名くんを捉えたあの人は、三条さんのお父さん……。


ーーー三条さんは、椎名くんのもう一人の幼馴染み。



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