【完】クールな君に告白します
国崎くんから聞いた話を頭の中で辿って行き着いたのは、二人の“幼馴染み”という意外な関係。
椎名くんは何も言わずに、ひたすら沈黙を守り抜こうとしているように私には見える。
「わたし……もう、今まで通りになんかしたくないの……っ、」
「……、」
重苦しい空気を壊すように、三条さんの張り詰めた声が図書室に響き渡る。
決死の覚悟で訴えるその姿をようやく視界に映した椎名くんの瞳が、息を呑むと同時に揺れる。
「っ、オレは、お前のことなんか忘れたんだよ……、もう、忘れてる。だから、黙って今まで通りにしろよ」
その、温度を持たない椎名くんの声は、
ーーー“あの娘(こ)に会っても……間違っても声をかけるな。今まで通りにしろ。それが、お前に出来る償いだ……”
不意に蘇ったあの冷酷な人の言葉を、思い出したように見えて……。