【完】クールな君に告白します
射るようなその瞳。
三条さんを突き放す冷めたブラウンの瞳。
「わたしは、忘れてない……本当は、ずっと……」
堪えきれずに溢れ出した涙が頬を伝う。
それを隠すように三条さんが図書室を飛び出せば、握りしめていた画集が大きな音をたてた。
夜に近づく色が、図書室に取り残された私と椎名くんを静かに包む。
まるで、忘れることが使命のような言葉を交わす二人。
私には、二人の生み出した言葉が、そう聞こえてしまって仕方ない。
「………本、忘れていっちゃったね?」
「……、」
「と……届けなくて、いいの……?」
「っ、」
画集を拾い上げて、椎名くんへと差し出した。
……けど。