【完】クールな君に告白します



バシッ、と乱暴に本を叩いて、私を射る瞳は雪のように冷たい。


けど、その冷たさに満ちた瞳の奥に……悲しさが揺れている。



「お前には関係ねぇだろ……」



“これ以上、関わるな”ーーーと。

突き放されるのは本当に一瞬だった。


         
「偶然だっただけだ。お前に声をかけた理由なんか……っ、ただそれだけだ……」


「っ、」


「関係ないお前が……こんなことろで首突っ込むな」


   
降り下ろされた言葉。

痛みを増していく胸が、ただ……苦しくて。


ーーー“その時は、きっとお前が傷つくことになる……”


幼馴染みの忠告が蘇って、それでも、それでもと私は思う。



「これ以上、お前と関わる理由なんかない……」



それでも、隣にいたいと思ってしまった。


ーーー“これ以上、楓の中に踏み込もうとするな”


椎名くんが傷ついているのなら、少しでいいから、力になりたくて。


理由はなくたって……それでも、椎名くんの隣にいたかったのは嘘なんかじゃないよ。



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