【完】クールな君に告白します
* * *
バレンタインの日から数日間。
あれから、私が図書室へ行くことはなく、同じように椎名くんも創立記念祭の作業が終わると同時に正門を出ていく姿を見かける日々。
必然と、椎名くんとの距離は遠ざかる一方で、その雰囲気はクラス中にまで浸透したらしい。
「ねぇねぇ。最近、椎名くんって、不気味ちゃんのことあからさまに避けてない?」
「ていうか、最早、視界に入れようとしてないって感じじゃん……?」
「悪い魔法が解けただけだよ。オバケ役に任命されるくらい不気味なんだから、好きなタイプなわけないんだって!」
“不気味ちゃん”と“クール王子”………。
女の子達は全て悪い夢だったと語る。
休み時間も創立記念祭へ向けてせっせと手を動かすクラスメイトの中に、そんな好奇な声は飛び交っていた。
事実、椎名くんとは目も合うこともなかった。