【完】クールな君に告白します
そんな今日を終えた放課後……。
私は一冊の本を手に図書室の前を通って下駄箱へと向かう。
三条さんが忘れていった画集だ。
先週のバレンタインの出来事を思い出しても、高鳴りは音を失ったように響くことはなく。
引き換えに、あの時の椎名くんの射るような瞳が、今も胸を痛め続けていた。
私の教室から一番離れたクラスだと言っていた三条さんのもとへと行ってみても、姿は見当たらず……。
結局、三条さんの行方が見つけ出せない私の頭の中に、画集を確実に渡してくれる人が一人浮かんだわけで、靴を履き替えて外に出る。
刺すような冷たい風に思わず肩が強張る。
有効な人物がいる可能性の高い場所を目指して、足を進めた。