【完】クールな君に告白します



「これ、お前のじゃねぇだろ?」


……と。

今度は逆に私を真正面から捉えながら問いかけてくるから、心臓は正直に答えてしまう。



「画集にあるような絵なんか描くのかよ、お前は」


「これは……三条さんという方の忘れ物で……それで……」


「それで?オレに、渡せってか?」



“三条さん”と。

私が躊躇いがちに名前を口走った瞬間、ピクリと眉を動かした。


……ああ、そうだよね。


国崎くんは三条さんの幼馴染みでもあるんだ。


こんな奥歯に物が詰まった言い方なんかしなくても、画集を見た時から全てを見透かしていたのかもしれない。



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