【完】クールな君に告白します
去り際に春風さんに言われた通り。
本当に早く帰らなきゃ雪はもっと強く吹く。
けど、その前にせめて画集を三条さんに渡したい。
自然と速度を増す足で向かった美術室。
微かに人の気配を感じる美術室の前に立った私は、きっといるだろうと予感しながらそっと中を覗いてみる。
絵の具の匂いが鼻をくすぐった。
誰もいない静寂を保つ美術室の真ん中辺り、窓側にたった一人、三条さんはいた。
大きなキャンバスの前に……。
「っ……だ、誰……?」
ビクッと肩を震わせる三条さんが私の存在に気づき振り返ると、大きな瞳はさらに開かれる。