【完】クールな君に告白します
「………え、と。あの、いきなりごめんなさい!」
「つ、月城……、さん?」
「はい……。すみません。声もかけずに……」
ふるふると首を振ってぎこちなく笑った三条さんは、前に会った時も私に怯えていたことを思い出した。
……ああ、三条さんは怖がりなんだから、ちゃんと声をかければよかったな。
「これを届けに勝手に来てしまいました……」
「画集……。ありがとう……」
言いながら、私が画集を手に近くまで足を進めると同時……三条さんは、キャンバスを隠すように勢いよく立ち上がった。
あれ……?
本当に一瞬だけだった。
一瞬だけ、何かの絵が見えたのは、私の見間違えだったのかな。
確認するよりも早く、くるりと返されてしまったキャンバス。