【完】クールな君に告白します
「ありがとうね?ほんとに、描けなくて困ってたから、助かる……」
罰が悪そうにも見える笑顔で画集を受け取ると、それを絵の具が並べられた木製のテーブルに置いた。
「金賞もたくさんとっているみたいで、すごいですね……」
言葉に詰まって国崎くんから聞いた話を口にすれば、何気なく目に入った絵の具と色のついた筆……。
「それでは……私は、これで」
何かを気にしているみたいな三条さんの視線は、未だに私から泳ぎ続けている。
美術室をあとにしようと踵を返したその時……。
「ま、待って……こないだは、あんな空気にして……ごめんね?」
「えっ?」
振り返った私から目線を足元に落とす三条さん。