【完】クールな君に告白します
「……楓は、幼馴染みだった。それから、バスケ部の隼人も」
「はい……国崎くんから聞きました」
もう一人の幼馴染み。
決して椎名くんの前に姿を現すことのなかった三条さん。
私のお手製の学年名簿にも名前はあったかさえも不確かだ。
こんなにも近くにいたのに……。
「わたしね、もともと絵が好きだったわけじゃないんだよ?おじいちゃんが昔は画家だったの。わたしは、おじいちゃんと絵を描くのが大好きだった……」
ぽつり、ぽつり、と。
記憶をなぞるように三条さんは話し始めた。
「よく描けたねって、街のコンクールにお父さんが応募してくれた風景画が入選して……嬉しかったよ。お父さんが、褒めてくれたから……」
あの鋭い眼光を放つ冷酷そうな男の人……。
けど、三条さんはとても優しいお父さんを思い出すように語った。