【完】クールな君に告白します



「だけど、それからお父さんは賞をとるような絵じゃないと褒めてくれなくて……わたしも、必死にキャンバスの前を向いた……」


「……、」


「“お前には色がない”……って言われて。わたしの色ってなんだろうって毎日悩んでた……何も描けなかった。でも、楓が……わたしに言ってくれた……“紅葉の色はたくさんある”って。“その時の気持ちの色が、紅葉の絵を見たらオレにはわかるんだよ”って……」



いつも……。

椎名くんの言葉はそうやっていつも、誰かを、救っている。



「それなのにわたしは、楓のせいにしたんだよ。全部、全部……あんなことが起きたのは、楓のせいじゃないのに……」


「……っ、」



ドクッ、と心臓が大きく跳び上がった。




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