【完】クールな君に告白します
もっと他の伝え方があったかもしれない。
私のそんな思いと同時に驚きでしかない椎名くんの瞳が、目を見張った。
「だって、椎名くん……忘れたなんて、嘘だよ……、」
「っ、」
「三条さんのことをちゃんと覚えてる。椎名くんは……いつも……、」
言いかけて、雪の降る中、眉根を寄せる椎名くんを見据えた。
たった一つ、見つけた真実。
窓の外に降る雪。
美術室のその向こう側ーーーあの、図書室は。
「図書室から、三条さんのいる美術室を、見てたんだよね……」
「……っ、」
ーーー“オレもこの場所嫌いじゃない”
いつも、遠くを見ているような瞳。
その瞳の奥に閉ざした思いは、真っ直ぐに、三条さんに向けられていたんじゃないのかな。