【完】クールな君に告白します



自然と吐き出された白い息はゆらゆらと宙を彷徨って、消えていく。


今の私の言葉は、椎名くんを再び色を失った世界へと誘(いざな)ってしまうかもしれない。


傷つけてしまうかもしれない。

それでも………。



「……伝えたいことは、言葉にしないと伝わらないんだって、椎名くんが教えてくれたんだよ?」



再び交わる視線と視線、それを合図のように、私はゆっくりと椎名くんのそばまで歩み寄る。


ーーー“伝えたいのに、拒絶されたらって考えたら怖くて言えない……”



椎名くんの弱さに溺れてしまいそうな言葉。




< 447 / 563 >

この作品をシェア

pagetop