【完】クールな君に告白します



「椎名くん……怖くてもいいんだよ……。椎名くんの本当の気持ちを、伝えてほしい……」



ーーー“傷つけた自分が、許せなくなるよな”


ぽつり、と。

あの時、椎名くんが零した声は消えてしまいそうで。



……だけど。


その言葉は、本当の椎名くんが隠した、心の声だったんじゃないのかな。



「どうして、オレだったのかもわからない……」



悔しさに満ちた哀しげな声。


国崎くんと同じ言葉を繰り返した。


落ちては消える儚い雪のように、椎名くんが漏らした声はすぐに消えてしまう。



「……だから、怖かった。ずっと」



傷ついた顔をした椎名くんの姿が、あの夜とピタリと重なって、胸が張り裂けそうになる。



「オレの言葉は、いつも、誰にも届かない……」



ーーー本当の気持ちは、きっと、心の奥に。



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