【完】クールな君に告白します
夕焼けが遠くなる。
暗がりの反対側の並木道から、紅葉(もみじ)の葉を踏みつける複数の足音が響いて。
ーーードンッ!
キャンバスを抱えた紅葉の手をそっと握ろうと、伸ばした手が、行き場を無くした。
「痛ってぇな……ガキが道塞いでイチャついてんなよ」
明らかに故意に、むしろ、それを目的にぶつかってきた二人の男は、オレらよりも年が上だったと思う。
「ぶつかってきたのはアンタらだろ?」
「………あ?今、なんつった?」
「前を見て歩けって言ったんだよ」
「……っ!!」
素行が悪いのは一目瞭然の不良の気は短く、がたいのいい男は大袈裟に舌を打つと、オレの制服の襟を乱暴に掴み上げた。
「っ、やめてよ……!楓に何するの……!」
オレの背中に身を寄せていたはずの紅葉の声が、緊迫した空気を裂いた。