【完】クールな君に告白します
「うるせぇガキだな?その口、塞ぐぞ?」
「……っ、」
大きく肩を震わせる紅葉を再び背中で隠したオレは……いっちょまえにヒーロー気取ったつもりだったんだろうか。
「女は黙ってろよ」
もう一人の男が紅葉の肩をどつけば、腕の中に抱えたキャンバスが鈍い音を響かせて地面へと落下した。
「ふざけんなよ……っ、」
掴まれた手を解くことも出来ないオレは精一杯の威勢を見せる。
……同時。
頬に鋭い痛みを受けて、足元がぐらついた次の瞬間には、口の中に錆びた鉄の味が広がった。
「楓……!!」
「おいおい、ガキ相手に顔はまずかったんじゃねぇか?」
薄ら笑いを漏らす二人の男を睨んだ直後。
「………本当に、恥ずかしい人達……中学生相手に、みっともない……」
芯の強い瞳を濡らしてぶつけた声は震えていて。
けど、本当はきっと、オレよりも君はずっと強かったよね。