【完】クールな君に告白します
・未来を映して
* * *
「………どうして、オレだったのかもわからない」
“偶然”と呼ぶにはあまりにも重なりすぎて。
たった一人、オレを信じてくれた君のためにしてあげられることが、何一つ見つからなくて。
「忘れる以外の方法が、オレには見つからなかった……」
あの夜と同じように寒さに凍てついた鼻を赤く染めた月城は、オレの手を、そっと握った。
言葉はなくても、月城の手は、オレに何かを伝えようとしていることがわかってしまう。
「……椎名くんは、大切な人を忘れてなんか、ないでしょう?」
「……、」
「椎名くん。私、思うんだ。椎名くんの遠くを見てる瞳はね、私には図書室からは何も見えなくて……」
「……、」
「だけど、角度を変えて見たら、私には見えたよ。だって、三条さんのいる美術室からは図書室が見えたから……」