【完】クールな君に告白します
ーーー“……諦めるのか!?”
全て忘れたと言い捨てるオレの背中に突き刺さった隼人の震えた声。
きっとそれはアイツなりの精一杯だった。
紅葉なんか知らないと返せば、冷たいヤツだと今度こそ泣きそうな声で言ったんだ。
でも、あの日から絵を描けないと最後に耳に届いた言葉を聞いた時は、胸が張り裂けそうになったことを覚えてる。
高一の雨の降る帰り道。
後悔に濡れた瞳で、ふとそこから美術室の君を見つめていれば、図書室の窓に出来る黒い影。
本当に最初は亡霊かと思う程で、だけど、目を凝らせばその人物は真剣な眼差しでどこかを見つめていた。
………それが、“月城公花”だったんだ。
名前を知ったのは次の日の体育の授業で、声が小さい!と叱られ、何度も名前を呼ばれていたのを聞いたから。
帰り際、月城と同じ場所に立つように美術室を見つめては忘れようとしたんだ。