【完】クールな君に告白します
「……違う。オレは美術室なんか見てない……、」
でも、どうしても、君が今笑えているのか。
君は、絵を描ける日が来るのか。
本当は、いつも君のことが……。
「でも、椎名くんはそうやってーーー」
雪が舞い降りる中、月城が真っ直ぐにオレを見つめるから、さらに鼓動が大きく音をたてた。
「三条さんのことを、見守っていたんじゃないのかなって、私は思うよ」
「っ、」
「自分の気持ちに嘘をついたまま……諦めるの?」
身体を引き離すオレを静かに見上げた月城。
分厚い前髪が微かに揺れて、見たこともない真剣な瞳が、問うようにオレを見据えていた。
いつから月城は、こんな風に、自分の言葉を口にするようになったんだろう。
オレから目を逸らすことのない、真っ直ぐな、月城の言葉が心を揺らした……。