【完】クールな君に告白します



「………好き……です」



言葉にすれば椎名くんの顔が浮かんでくる。

私も、本当は知ってほしい。

椎名くんは冷たくなんかないよって。

冷酷な王子様と呼ばれるような人じゃない。



「私……椎名くんのことが、好き……」



私の言葉に耳を傾けてくれた椎名くんは。


ーーー“ お前は……“ 月城公花 ”って人間はオレにはそう映ってる”


本当は、誰よりも繊細で、優しい男の子で……。

その優しさを私も同じように返したくて。


でも、椎名くんの心は、指先で触れたら壊れてしまいそうで。


椎名くんが私に教えてくれたように、椎名くんにも、諦めてほしくない……。



「アンタって、意外と頑固だよね……先輩達には、こないだみたいに自分から向かっていったのに?」



俯いた私の頭上から降る春風さんの呆れたような、でもどこか穏やかな声。



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