【完】クールな君に告白します
無意識にそう繰り返し聞いてしまう。
「………金賞をとることが使命みたいにお父さんに言われてて……どんな絵を描けば、金賞がとれるかって。そればかり考えてたら不安で堪らなかった。いつの間にか絵を描くのが、怖くなってたの……」
「……、」
「……そんな時に負った怪我。怪我をしたんだから、描かなくていい。描けなくて当たり前だよねって、理由づけて……お父さんも、怒らなかったし優しくしてくれた」
なぜだか、心臓の辺りがざわざわと揺れる。
不安に包まれた私は三条さんを見つめた。
「だけど、怪我が治ったらまた描かなきゃいけなくなる……金賞をとれるような絵を……だからっ、わたしーーー」
先日の三条さんの言葉が頭を過って、次に出る言葉がわかってしまう。
「わたしは、全部楓のせいにした……」
ーーー“……どうして、オレだったのかもわからない”