【完】クールな君に告白します



「……でも結局。楓にあんな顔をさせるだけだった。今さら、何を伝えたいのって思われるよね」



そう言って自嘲気味に眉を下げて笑みを零す三条さんに、私は美しい絵から視線を移した。



「だ、だけど……椎名くんは、言ってました。伝えたいことがあっても、拒絶されたらって思ったら怖いって」


「っ、」


「そうやって椎名くんも、いつも葛藤していたんじゃないかなって……私は、思う。だけど、本当は……」



迷って、苦しくて、それでも忘れられなくて。

伝えたいことを、自分の言葉で伝えたいのに。

その一歩を踏み出すのが怖くて。



「もう一度、向き合いたいって……思ってる。きっと……」


「でも、わたしは楓のことを傷つ……」


「椎名くんは……っ、私に、教えてくれました……」



< 497 / 563 >

この作品をシェア

pagetop