【完】クールな君に告白します



静寂に包まれた美術室の中心にある鮮やかな紅葉の絵を背に、私を真っ直ぐに見つめる三条さんの視線が交差した。



「“大切なのは、もう一度向き合うことだから”って……」



椎名くんがくれた言葉は、いつも、私には優しく届いて。


まだ、強くなれたわけじゃないけど。


少しずつ少しずつ、こうやって、強さに繋げてくれたんだよ。



だけど、きっと、その言葉は自分自身に向けていた言葉だったと私は思うから。



「……っ、」



大きな瞳が潤いを持ち、瞬く間に溢れた涙は、三条さんの頬を伝っていった。


椎名くんは、きっと、三条さんのことを待っていたんじゃないのかな。



「本当に、素敵な絵ですね」



いつかまた、真っ白なキャンバスを彩る日を。



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